明治期「女帝論」は現代に通ず 「男尊女卑は国民の脳髄を支配する」「女性天皇は生涯独身!」

文/小内誠一

愛子さまor悠仁さま

「愛子さまか、悠仁さまか」と世論を二分しかねない皇位継承問題。大手メディアのアンケート調査などによれば、国民の八割以上が女性天皇に賛同している。国民投票を行えば、あっさりと「女性天皇」は実現されるだろう。だがこれは「愛子天皇」の実現が実現を必ずしも意味しない。というのも、メディアのアンケートはあくまでも「女性天皇に賛成か否か」を問うものであり、「愛子さまか、悠仁さまか」を問うものではないからである。

また現政権も世論の二分化を恐れ(また、男系を維持したいという保守派の思惑ゆえに)、現在の❶秋篠宮殿下、❷悠仁さま、❸常陸宮殿下という皇位継承順位を変えず、その次代からの皇位継承権について議論する構えだからだ。

だが『週刊新潮』(2020.6.11号)が「「秋篠宮家」手作り医療用ガウン大量寄付でも人心離れ」と記事を載せ、また当サイトの佐藤公子さんの記事「秋篠宮家「ガウン寄付」が“不評”「人気取り」「他にすることがある」との厳しい声も」が指摘していることからも明らかなように、多くの国民は秋篠宮家に幻滅している。そのため、女性天皇の可否をめぐる議論は、愛子さまの即位を期待する声と表裏一体にある。

嚶鳴社討論

紛糾すること間違いなしの皇位継承問題。今回は議論の一助として、1882(明治15)年に行われた女性天皇の是非をめぐる議論、通称「嚶鳴社討論」の一部を紹介したい。これは、すでに先に公開した四つの記事に続くものである。

  1. 明治期の「女帝否定論」を紐解く 島田三郎(衆議院議員)の嚶鳴社討論
  2. 明治期の「女帝容認論」を紐解く 肥塚竜と草間時福の嚶鳴社討論
  3. 明治期「女帝否定論」の不思議 「女の幸せは即位ではない」「女に国事は無理」
  4. 明治期「女帝討論」の奇妙 「男尊女卑は伝統」「悪しき慣例は撤廃すべき」

第5回となる本記事では、女帝否定論者の沼間守一(1844-1890)と、女帝容認論者の青木匡による論説を紹介したい。その要点をまとめると、

  • 沼間「男子が優先的に相続するのは世界共通であり、男尊女卑は日本国民の脳髄を支配しているのだから、女帝をたて婿を招くのは無理。女系容認派は『女帝を否認して皇統が断絶したらどうするのか?』と危惧するが、それは杞憂である。過去2500年間そんなことは起きなかった」
  • 青木「女帝否定論者は『女性が即位したら生涯独身の不文律がある!』と声高に叫ぶが、別に結婚してもよいではないか。世の中の常識として、家督を女性が継ぐ場合もある。女性否定論者は『家の相続と、皇位の相続は別!』と叫ぶが、過去の事例を見て片方だけを相続した例など無いから、同じものとして閑雅て問題ないだろう」

とのことである。まさに現代でも同じ議論が交わされていることを思うと、興味は尽きない。

沼間守一の「女帝否定論」

沼間守一氏曰く、予は本論を賛成する者なり。故に此に一言して、反対論者の論旨矛盾する所を示さんとす。是れを示すときは、本論の正当なること白から現はるを以てなり。

男子が優先的に相続するのは世界共通

予は試みに女帝立つべしと論ずる諸氏に問んとす。此に男女の子を有する者あらん。其長子女にして次子男なるときは、其家を相続せしむるに男子を以てする乎、抑(そもそも)女子に譲らん乎。我国風、其長たり次たるの順次に拘らず、男子に相続せしむるにあらずや。是れ独り我国のみ然るにあらず、又民間のみ然るにあらず、立憲君制の諸国と難も、此の如きなり。

男尊女卑は日本国民の脳髄を支配しているのだから、女帝をたて婿を招くのは無理

王家と雖、亦此の如きなり。然らば則ち男女に区別なしと云ふ可らず、男女に階級なしと云ふ可らず。反対論者にして此簡単見易きの事実を暁らば、則ち女帝を立るを可とするの謬見なるを覚らんとす。既に此区別あるを見ば、何ぞ奇論を立て反対を為すを要せんや。又男を尊び、女を卑むの慣習、人民の脳髄を支配する我国に至ては、女帝を立て皇婿を置くの不可なるは、多弁を費すを要せざるべし。

無論、君主は賢良であるに越したことは無い

丸山論者の如きは、立憲国の皇帝は善人を要せず、賢良なるを要せず、庸暗にでも可なりと言ふの口気を放って、反対の口実とす。真に無礼の発言と云ふぺし。何れの時と雖、君主は賢良なるを要す。君主賢良なるときは、憲法上権限の争議を為すを要せずして、君主之を確守し玉ふが故に、君民の幸福是に過るなかるべきを以てなり。

且夫れ反対論者の口実とする所は、女帝を立るは血統を重ずるなりと云ふに過ぎず。君主国に於て、皇帝の血統を重ずることは、反対論者の言を挨ずして之を知れり。然れども血統の中に附て男女の区別を立るは、現今何れの固と雖、之あり、即ち同胞中に於ては、男を先きにして敢て降誕の順序に拘らざるが如き是なり。論者は強て説を立んが為めに、有るまじき事実を引て、抗論を試むるも亦知る可らず。故に予は予め之を撃破して其遁路を塞ぐぺし。

「女帝を否認して皇統が断絶したらどうするのか?」は愚問。過去2500年間そんなことは起きなかった。

論者は言ん、女帝を立てざるが為めに、皇統絶るときは如伺んと。予は直ちに之に答んとす、既往二千五百年間此事なし、爾後も亦是れなかる可きのみと。論者にして尚ほ説あらんか。請ふ、其詳を悉せ。

青木匡の「女帝容認論」

否定論者は「女帝は独身」というが、結婚しても良いではないか。

青木匡氏曰く、本論者島田君は女帝を立つ可からざることを反覆論弁せられたりと雖ども、要するに其精神は、第一、我邦に於ては、古来女帝即位の例なきに非らざるも、其実は摂政の地位を保たるる歟(か)、否らざれば、終始独処して曾て配偶の君を置かれざりし者なれば、外国今日に於て立つる所の女帝と大に其性質を異にする者あり。故に古来の慣習は引て今日の定例とす可からず。

男尊女卑が残っていることは否定しない。

第二、我邦の現状、男を以て尊しとなし、之を女子の上に位せり。今皇婿を立て憲法上女帝を第一尊位に置くも、通園の人情は、制度を以て之を一朝に変ずる能はざる者なるが故に、女帝の配偶を以て女帝の上に一の尊位を占むるの人たるが如きの思を為すぺし。豈に皇帝の尊厳を損ずることなきを得んやと謂ふに在り。

我邦に於て古来九五の位を占めさせられたる推古帝以下八代の女帝は、終始独処せらるる歟(か)、然らざれば皇子に代て政を摂するの地位に立たれたる者にして、欧洲諸国の女帝の如く配偶の君を置かれざりしは、本論者の言ふが如くなれども、斯は唯配偶の君を置かれざるの一事に就てのみ、外国の女帝と異なる所ある者にして、女帝を立つるの我邦古来の慣習たることは、本論者と雄ども決して否とは謂はざるべし。

しかし世の慣習に従えば、女性が「家」を相続することもある。女帝はそれと同じ。

既に此慣習あるにも拘はらず、向後女帝を立てざることとせば、唯に古来の典例を破るのみならず、又以て大に人心を傷ふの恐れなしとせず。且つや我邦人の慣習として、女子よりは男子を尊ぶことは固よりなきに非らざれども、閏統の子よりは正統の子を尊ぶは、是れ亦我邦人の慣習なり。

是故に正統の子に男女ある時は、其長幼に係はらずして、男子を立つるは可なるべけれども、若し女子のみにして男子なき時は、之を立てて女帝とするは、世間普通の相続法と同一般ならざる可からず。

「皇家の相続と、帝位の相続は別だ」という反対論者もいるが、古来、そんな区別をした例はない。

余は慣習を重ずる者なり、人情を傷ふことを恐るる者なり。故に女帝立てざる可からず。斯くの如く論じ来れば、本論者は帝位を継ぐと皇家を相続するとは全く別事なり、故に帝位相続の事は世間普通の慣習に依る可からずと反駁するなるべし。

帝位を継ぐと皇家を相続するとの元来別事なるは、余も亦之を知らざるに非らずと雖ども、古来帝位を継ぐ人と皇家を相続する人とを区別したるの例なきを以て見れば、皇家を継ぐ人は即ち帝位を継ぐ人なり、帝位を継ぐ人は即ち皇家を継ぐ人なり、皇女をして皇家を相続すると同時に帝位を継がしむるに於て何の不可か之れあらん。

男帝も女に溺れ政治上の混乱を招いたことはあるし、憲法で政治不介入を明記すれば問題ない。

然るに本論者は、女帝を立て之れに配偶の君を置くときは、其皇婿は暗々裏に女帝を動かして間接に政事に干渉するの弊なきを保つこと能はず云々と陳べ〔た〕り。起し此事は万々之れなしと言ふ可からざれども、男帝とても女寵に溺るるの極、遂に言ふ可からざるの弊害を政事上に及ぼせしことは、古今各国の歴史を見ても、其例甚だ鮮(すくなし)とせず

要するに右の如きは、女帝を立つる事の悪しきに非らずして、女帝たりし人の王を立つるが悪しきに非らずして、其暴政を施したる人の悪しきと同一般なり。故に皇婿たる者は決して政事に干渉すべからざることは、之を憲法に明記せば、女帝を立つるも、本論者が言ふ如き憂を引起さざるなり。本論者は尚ほ前説を維持することを得るや。請ふ、説あらば之を聴かん。(三月二十四日)

向後:今後

9 件のコメント

  • 正直に言って、国民の意識レベルでは、女性が天皇に即位することに何の問題も感じていません。
    それはアンケート結果でもハッキリ現れています。
    男系か女系かなど、多くの国民は気にしていません。

    『「愛子さまか、悠仁さまか」と世論を二分しかねない皇位継承問題』とありますが、ハッキリ言って「二分」することはないと思います。
    国民の愛子さまへの信任は、愛子さまがお生まれになった時から圧倒的です。
    民意は「愛子さまを皇太子に、天皇に」です。

    悠仁さまについては、ほとんど国民が目にする機会がないので、宮内庁関係者が思う以上に、国民から見て存在感は希薄です。

    本来ならば、2006年の皇室典範改正審議がちゃんと通っていれば、愛子さまは昨年の18歳の誕生日に立太子されていたはずでした。

    それを邪魔したのが、日本会議という右翼団体を支持基盤に持つ安倍晋三です。

    皇太子になるべき人が、男女の差別なくなれるように。
    ふさわしい人に皇位を継承してもらいたい。
    国民の願いは、ただそれだけです。

    この願いに、残念ながら悠仁さまという存在は介入することが出来ません。
    国会が皇位継承問題で揉めるとしたら、日本会議を基盤に持つ保守議員が強硬に反対する、という事態が考えられますが、それは民意とは関係のない争いです。

    民意を完全無視したリッコーシの礼など、ハッキリ言って多くの国民は安倍政権にも秋篠宮家にも相当苛立っています。
    特に秋篠宮夫妻は、緊急事態宣言が出されている最中に儀式を強行しようとしました。
    非常識甚だしく、大変不快な存在です。

    秋篠宮家は皇籍を離脱してもらいたいし、一刻も早く皇室典範改正が成されてほしいです。

  • 古の日本は、女性が家をついで、男子は 家をおこしていた。?
    別に、愛子内親王殿下が、家をついでもいいのでは?

    象徴!ですよね?
    結婚かぁ? 秋篠宮家の眞子様を見ていると お付き合いと結婚は、絶対に別!調べるの当たり前!
    自由結婚? ある程度の家柄には、家系調査 必要では? と秋篠宮家の縁談見ていてそう思う。
    お相手と結婚? 天皇家との縁談?とっても大変そう。
    天皇陛下の、妹も 結婚大変だった。
    いつも思っていたのは、美智子様は、派手めの衣装なのに、何であいもしない格好をしているのでしょう?
    髪型も、お洋服も?
    愛子様は、天皇皇后両陛下と洋服を そろっている?かわいいかっこしていると思う。?

    天皇家と秋篠宮家の、子育て ずいぶんと 違うと思います。
    秋篠宮家の子育ては、美智子様の子育てを 参考にしていると言われていたけれど?
    皇太子家 だった美智子様方と、一宮家の子育ては、ずいぶんと違う子育てをしなければいけなかったはず!
    秋篠宮家は、皇太子だった 天皇陛下を、支えなければいけない、お家柄!
    そう思うと、全然 支えていないと 思うのは、少人数?

    今の秋篠宮家のことを見ていて、象徴 天皇は
    愛子内親王殿下に!と思ってしまう!

    ただ、御結婚は、慎重に!お相手の身分を、どうするのか?色々と意見ありそうです!
    女帝!いいではありませんか?
    海外の王家、これから 女王様 誕生致しますし!?

    早く、議論してください。政府は嫌みたいですが?
    男子は、今のところ お一人だけ!!!

  • 「男帝も女に溺れ」国を乱すこともあれば、皇族の品位を貶めることもあるのは、その通り。
    「君主は賢良なるを要す」もその通り。

    今、賢兄愚弟が国民に明らかになってしまっている状況で、そして帝位にある賢兄に優秀な女の子、言っちゃ悪いが愚弟と愚妻(子供に職員が作ったものを提出させるような)の男の子のどちらに皇統を継いでいただきたいかと問えば、当然、女の子に継いでいただきたいとなる。もちろん女帝が独身を貫く必要はない。むしろ男系男子死守のほうが独身を招くのではないか。



  • 女性が天皇になれないのは女性差別だと言われてますが、でももともと皇室なんて、世襲によって天皇の地位を決める、つまり一般人は決して天皇になれない血統差別なんじゃないですか? 女性差別はいけなくて、血統差別は良いと言うのが、私には分かりません。

  • その時代その時代のコンセンサスは当然のことです。だがしかしこれからの象徴としての男系の天皇は継続できていくのか。という差し迫った問題をどうするのか。という議論は先送りばかり、ましてや、時の首相は女系天皇、女性天皇、反対論者です。天皇家の存続は女性の内親王様がカギを握っているといっても過言ではありません。私に言わせれば現首相の早期退陣を待って女性
    女系天皇に前向きな代議士を望みます。国民の8割の総意を忘れてはなるまい。

  • 時の首相の意見とか民意がどうかとか、全く関係ない議論です。皇室は、我々国民とは全く別の存在として続いて来たのです。それは、男系一系守って来たからです。女系も許されると、一般国民と同じになってしまい、皇室の独自性も価値も失なわれしまいます。民主的な皇室など、矛盾であり、あり得ません。女系天皇を認めてたら、日本の皇室は消えると思います。

    • あのさ、その「男系にしか価値がない」っていう考えそのものが女性差別なんだよ。ヘイトだし、ものすごく不快。
      多くの国民は、そういう性差別をやめようって言ってんの。

      「皇室は国民とは全く別の存在」とか、んなわけないだろ。
      皇族は人間ではなく神様だとでも言いたいのか?

      上皇陛下も今上陛下も一般国民から結婚相手を選んでる。
      他の宮家も同様。
      国民とのつながり、国民の信任なくして皇室が存続できるわけないだろ。

      多くの国民は、天皇皇后両陛下に親しみを感じ、お子さまである敬宮愛子さまに跡を継いでもらいたいと思ってる。

      国民は今上陛下が「男系の血を継いでるから」敬意を払ってるわけじゃないんだよ。
      人間として親しみを感じ、国民一人一人の安寧と幸福を願ってくれている、その優しさが伝わってくるからお慕いしてるんだ。

      男系男系言ってる人たちは、本当に皇室への尊崇心をもってるのか?
      なぜに天皇陛下の御息女である愛子さまを無視する?
      もしくは女性である愛子さまを侮辱するような事を言うのか?

      実に理解に苦しむ。

    • 男系男子を求めていたら皇室は断絶しますよ。なぜなら、そうなれば悠仁様たったお一人しか皇族として子孫を残せ無いわけですから。そして悠仁様は必ず男の子を妻に生ませなければなりません。まずそんな縛りがあるところに輿入れする女性がいるのか、そして必ず男子を産めるのか。ハードルは非常に高いです。

      男系男子主義者は木を見て森を見ず、かつ本末転倒です。皇室を滅ぼしたいとしか思えません。

  • 憲法には「皇位は世襲」と記されていますが、「男子でなくてはならない。」などと記されていません。皇室典範は、憲法の下部にあり、憲法の規定を実施する法律です。
    憲法に則り、天皇家の敬宮愛子様が次の天皇家を継承することを望みます。
    日本国民の8割以上が様々な新聞社などの世論調査(産経・朝日・時事通信・毎日・共同通信他多数)で、天皇家の敬宮愛子様を次の天皇と認めていましす。
    また、昨年、保守派国会議員が、男子継承の署名を集めましたが、国会議員700名中署名に賛同したのはわずか40名ほどでした。安倍総理はその賛同者です。
    側室制度が廃止された現在、たとえ秋篠宮家が継いだとしても、遅かれ早かれすぐ今と同じ問題が起こってきます。
    日本には日本国民8割以上にも認められた、天皇にふさわしい方がすでにいらっしゃいます!
    女性の継承を認めないと皇室が無くなります!
    敬宮愛子様皇位継承望みます。憲法を無視した皇室典範の改正望みます。

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