「愛子さまが天皇ではダメですか?」肥塚竜による明治期「女帝容認論」

文/小内誠一

愛子さま待望論

新型コロナウイルスで閉校されていたお茶の水女子付属中学校では、分散登校が始まり、悠仁さまは5日に約2か月半ぶりに登校されたそうだ。一方、愛子さまが通われる学習院大学では未だオンライン授業のみとなっている。少し前には、第二外国語でスペイン語を選択されたことが話題になった。

徐々に皇室の皆様の活動も日常に戻りつつあるようだ。10月には、延期となっている“立皇嗣の礼”が「規模の縮小なしに」挙行される見込みだ(参考)。この後、いよいよ政府は皇位継承問題の議論に踏み込む予定だ。

もっとも男系男子による皇統維持を目指す保守派から支持を受けている以上、安倍政権が女性天皇・女性天皇・女性宮家を容認することは無いだろう。女系天皇(非男系天皇)はかつて存在しなかった。女性天皇はかつて存在したが、女系天皇の呼び水となる。宮家はそもそも上位継承者を確保するためのものであるから、女性宮家は女性天皇の呼び水となる。したがって保守派は、皇統が危機に瀕しても、座して死を待ち、余命が確定した後に旧宮家の男系男子を天皇に祀り上げればよいと考えている。

女系天皇については次々世代の問題であり現時点で候補者がいるわけでもないが、女性天皇・女性宮家については緊急課題でありかつ愛子さまという候補者がいる。また朝日新聞や時事通信などの大手メディアの調査でも、国民の八割以上が女性天皇を容認しているという。よって「愛子天皇」の可否をめぐる議論は今後一層高まりを見せていくだろう。



明治期の「女帝の可否」をめぐる議論

今回は、女帝の可否を議論するための一助として、シリーズで紹介している、1882(明治15)年に行われた女性天皇の是非をめぐる議論、通称「嚶鳴社討論」の一部を書き起こしたい。これは、すでに先に公開した六つの記事に続くものである。

  1. 明治期の「女帝否定論」を紐解く 島田三郎(衆議院議員)の嚶鳴社討論
  2. 明治期の「女帝容認論」を紐解く 肥塚竜と草間時福の嚶鳴社討論
  3. 明治期「女帝否定論」の不思議 「女の幸せは即位ではない」「女に国事は無理」
  4. 明治期「女帝討論」の奇妙 「男尊女卑は伝統」「悪しき慣例は撤廃すべき」
  5. 明治期「女帝論」は現代に通ず 「男尊女卑は国民の脳髄を支配する」「女性天皇は生涯独身!」
  6. 女性天皇は賤しいのか? 明治期「女帝論」から読み解く

第7回となる本記事では、女帝容認論者の肥塚竜(1848-1920)による論説を紹介したい。肥塚竜は、新聞記者として活躍したのち、政界に転身。衆議院議員(8選)や東京府知事を務めた大物政治家となった。今回翻刻する箇所の議論を要約する。

  • 沼間氏は「男尊女卑は日本の慣習」と主張するが、それは個人の見解。法律上は男女平等であるべき。立法者は世俗的慣習や人情にとらわれて法律を立ててはいけない。
  • 我々の「女帝を認めるべき」という主張は、男女平等を要求しているのではない。男尊女卑が日本の慣習であるにしても「女子よりも男子優先で皇位継承すべき」という主張ならばまだ理解できるが、「女子に皇位継承権はない」とまで決めつけることには絶対反対である。女性天皇はかつて存在したではないか。
  • もし男性皇族がいなくなり女性皇族だけが残った場合、それでも女帝を立てずに、憲法外の一般人を連れてきて天皇に即させるのか? そんなことは不可能だ。

現代の皇位継承問題の議論にも通じる内容であり、興味深い。



肥塚流の「女帝容認論」

立法者は世俗的慣習や人情にとらわれて法律を立ててはいけない。法律上は男女平等であるべき。

肥塚竜氏曰く、沼間君は前論に男子を尊ぶは日本の慣習なり、若し女帝を立つるとせば、兄弟二人あり惣領は女子にして次子は男子なれば男子を後にして女子を先きに立つ可きか、との詰問を為したれども、是沼間君の胸中、法律は常に地平の上に立つ者の如くに考定したるが如し。

法律量に常に地平の上に立つるを得る者ならんや。試に見よ、米合衆国は法律制度を立つるに旧慣旧習の為めに妨げらるる最も少きものなり。然るも尚ほ米国祖先が法律を立つる時、多少旧慣旧習の凹凸に妨げられし事あり。我日本の如き、英国の如き、最も旧慣の凹凸に苦しめらるる者なり。世の立法者たる者は法律を立つるの際、能く習慣の如何を顧み、其国の風土人情に応じて法律を立てざるべからず。

我々が日本に女帝を立つるの制を廃すべからずと云ふは、男女の間に同等の権を立んと云ふにあらず、則ち日本は男子を尊ぶの風習あるが故に、継統の順序男女孰(いず)れを先にすと云ば、我は男を先きにして女を後にすべしと云はん。然れども女子は三人あれ五人あれ、決して九五の位を与ふべからずと云ふに至つては、断然之を拒まざるべからず。他なし、日本には男子を尊ぶの風習あると同時に、女帝を立つるの風習もあればなり。

九五の位:天子の位。皇位。

海外の例

英王へンリー八世には三子あり、第一マリー、第二ヱリサペス、第三ヱドワルド是なり。年齢順序を以って云はばヱドワルド六世は末子なれども、即位の順序は此三人の中第一に即位せられたり。是英国には男女軌れを尊しと云はば男子を尊とすれども、女帝は決して立てずと云ふ、彼の「サリツクロー」(男子のみを相続せしむるの法)なるものを用ひざるが故なり。

我日本の如きも又然り。今上帝男女二人の御子ありと仮定し、御惣領を女子となし御末子は男子にてましまさんに、此場合に当りでは惣領の皇女を後にして末子の皇子を先きにすべし。則ち男子を尊ぶの風習あると同時に、女帝を立つるの風習あればなり。

男性皇族が途絶え、女性皇族の皇族だけ残った場合、憲法外の人を連れてきて天皇にすることなど不可能

且(かつ)万一女帝を立てざるが為めに、皇統の絶なんとするあらば如何、此一言以って其論の立ざるを証すべし。試に論者に向ひ皇統は可成(なるべく)長く続ん事を望むやと聞はば然りと答へん。

又問ふ、男統の皇族既に絶へて、只女統の皇族のみ遺存す、此時に当り女帝は立てざるの憲法なるが故に皇統外に人を求めて天子と為すかと云はば、論者恐くは答ふる能はざらん。見るべし、本論及び賛成論の既に破れたる事。故に本論及び賛成者は血統を尊ぶ事を知って血統を永続せしむるの方法を知らず。以って此誤りを来せし者なり。論者幸に再思せよ。(三月二十九日)

*男統・女統の語は、普通、男系・女系の意味だが、ここでは男性・女性の意味で用いられているようだ。

紀子さま“疑惑払拭”へ 「ガウンは医療従事者が作った」と宮内庁

11 件のコメント

  • 憲法は、「皇位は世襲」とは書かれていますが、「男子でなくてはならない」とは書かれていません。
    皇室典範は、憲法の下部にあり、憲法の規定を実施する法律です。
    憲法を超えた法律の改正望みます。
    たとえ秋篠宮家が継いでも、側室制度がなくなった現在、遅かれ早かれ今と同じ問題が起こってきます。
    日本国民8割以上が、様々な新聞社(産経・朝日・毎日・共同通信・時事通信他多数)などの世論調査で天皇家の敬宮愛子様を認めております。
    秋篠宮家の立皇嗣の礼、中止してください。
    愛子天皇望みます。

  • 愛子様が天皇になられないなら、皇室は令和で終わっても仕方ない。

    次の世代に残るのは悠仁さまお一人となる。悠仁さまにマトモな嫁が来るのだろうか。そして国民は結婚を祝福できるのだろうか。昔のように天皇の存在など、人々の関心を惹かないものとなり、行事もほぼ行われなくなり、経済的にもタイトなものになるだろう。存在価値の無い人達にお金を貢ぐことを良しとしない人達が増加する。

    そんな存在の天皇が断絶すれば、もう皇族など必要なく、旧宮家から連れてくるなどといった時代に合わないことを、将来の国民は認めないだろう。今でも天皇に興味のない若者は多いのだから。

  • その時代のコンセンサスでしょう。今の世、令和においては、天皇家及び他の宮家では、男子のお子様が危機的と言えるほど少なく、ましてや男子の天皇の継続は不可能と言えるぼど将来は心細い限りであります。私の主張は国民の八割方が支持をしている女性、女系天皇待望論です。安部首相初め保守派と呼ばれる人たちの考え方では天皇家は滅びます。皇室典範を改正して愛子内親王様を天皇にできるよう切に望みます。天皇皇后両陛下の背中を見て育つてこられた唯一のお子様です。器量、頭脳、慈悲、思いやりのお心を持たれておいでで、早晩の改正をお願いする者であります。



  • 国民の総意に基づいた道標が既に
    表れてますよ。
    8割以上の国民が、敬宮愛子様の
    立太子を望んでいるならば、政府は
    一宮家の嫁に忖度しないで典範改正
    するべきです。
    皇族の宮妃と総理は電話で会話する程の仲良しですが、宮妃は政治介入
    してますよね。
    こんな不敬な輩は如何なモノかな
    どの道、敬宮様が皇統を継ぐ事に
    なるでしょう‼️

  • 次期天皇は愛子様でなければなりません。
    昭和天皇がおっしゃった
    「浩宮の次は 浩宮の子で」の お言葉通り
    直系で在られる愛子様しか居られません。

  • 大前提として、天皇の正当性を男系男子の継承により紡いできた。有史で1600年間である。これは、一王朝として最長記録を誇り、世界的にも類をみない長さである。
    これが女系天皇に代替わりしたら、王朝が変わることを意味しており、世界最古の天皇制による王朝が終わりを迎えます。
    現在の皇位継承権を無視して、即位下場合は皇位簒奪と言うことになります。
    その場合、正当性をどのように主張するのか、他国に認めさせるのかが問題になると思います。
    その辺、どう考えているのか知りたいなと思います。
    感情的にではなく論理的な意見を聞いてみたいです。

    • 秋篠宮のタイ旅行のニュース映像は見ましたか?
      タイ国側が悠仁君の歓迎のために”子供用のゲーム”を用意していましたが、動員されたタイ人の子供たちは明らかに”悠仁君より幼い子供たち”でした。すなわち、

      バカにされているんですよ。

      援助金が欲しいからおべっかを使って歓待する振りはしていますが、こういうアレンジにうっかり本心が出てしまっているわけです。
      1600年だとか言ってありがたがっているのは一部の日本人だけです。他国にとってはそんなものは何の意味も持たない。お世辞で「すごいですね~」などと言ってきますが、所詮自分には関係のない外国人の話。人間の中身がなければバカにされます。それだけです。

    • 今上陛下の一人子である敬宮愛子内親王殿下が即位なさる時は、2006年に審議されるはずだった皇室典範改正(男女問わぬ直系長子制)がきちんと論議され、正式に改正されたときです。
      つまり、その時の皇室典範に従って皇太子となり、即位なさるのです。皇統簒奪のいわれはありません。
      あなたは、スウェーデンのヴィクトリア王太子を王統簒奪者とおっしゃるのでしょうか。オランダのカタリナ・アマリエ・オラニア女公、スペインのレオノール・アストゥリアス女公、ベルギーのエリザベート・ブラバント女公は王統簒奪者ですか。

      現皇室典範のままであれば、秋篠宮殿下や悠仁殿下が皇位を継承なさいます。
      にも関わらず、それを皇統簒奪だと国民が何となく感じているのは、すでに国民の8割が女性天皇を認め、敬宮愛子さまが今上陛下の一人子であることを認めて、今上陛下の御子が皇位を嗣ぐべきだと思っているからです。今上陛下の御子でありながら、女子だから居ないのも同じ、とは思えないからです。
      ついでに言えば、妊娠6週目で懐妊報道などさせなければ、あのまま皇室典範改正が論議されて、男女問わぬ直系長子か、直系内男子優先かわからないですが、いずれにしても皇太子の一人子に皇位継承権が与えられ、今ごろ敬宮さまは18才で立太子なさっていただろうに、その機会を実力で奪ったのは確かですからね。
      また、現皇室典範において、天皇の弟は皇太弟(確定皇位継承者)にはなれません。天皇にそのうち皇位継承者(現在なら男子)が誕生するかもしれないから、そうした争いを未然に防ぐため、現皇室典範でも弟を確定皇位継承者とは認定しないのです。秋篠宮殿下の立場はかつての秩父宮殿下のお立場と同じです。にもかかわらず、まるで皇太弟であるかのように扱おうとする。そのあたりに、2006年に実力行使で介入して棚上げさせた皇室典範改正論議を永遠に封じようとする、秋篠宮殿下を確定皇位継承者にしてしまおうとする、意思が感じられます。
      だから、秋篠宮殿下には皇統簒奪のイメージがつきまとうのです。

      どうして国民の8割が望み、2006年に行われるはずだった皇室典範改正論議が無理矢理止められているのでしょう。

    • 戦後生まれの殆どの日本人が小学校で習ったように現代の日本は王国ではありません。なので小学校で教えられた通り現代の日本に王朝は存在しません。
      紫電や回天に乗って天皇のために自殺しなければならないとか、皇室利権を貪る一部の守銭奴のために身を削って年貢を納め続けなければならないとか、現代の日本国民の80%は日本が王朝政治になることを拒否しています。
      下品で知性のないわがまま男をどうやって他国に認めさせるつもりなのかは知りませんが、人間性が伴わないのなら他国人からはバカにされるだけです。日本国民の80%もバカにするだけです。



  • 男系男子派は皇室の将来を真面目に考えてはいません。おのれの欲望を満たす道具ぐらいに考えているのですよ。少し考えれば女帝を容認しなければ皇室が終わってしまうことはわかります。

    それとも、男系男子派は理解できないのでしょうか。そうではないでしょう。わかっていて尚男帝をゴリ押ししているとわたしは思います。

    皇位は世襲と定められている以上、直系のお子さまが継ぐことに何の不都合がありましょう。次は愛子様しかありません。

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です