両陛下、結婚27年 雅子さまの“涙”と、輝き続けたティアラ

文/木下聡

平坦ならぬ結婚27周年

6月9日、天皇皇后両陛下は結婚27周年を迎えられた。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため饗宴など祝賀行事は中止となり、身内でのお祝いをごく小規模で行われる見通し。

必ずしも平坦ではない27年間であった。その中でも最大の事件は2004(平成16)年5月10日の皇太子殿下による「人格否定発言」だろう。記者会見で皇太子殿下は「それまでの雅子のキャリアや、そのことに基づいた雅子の人格を否定するような動きがあったことも事実です」と発言し物議を醸した。

雅子さんのことは僕が一生全力でお守りしますから」というプロポーズの言葉を守り抜いた皇太子殿下であったが、当時、メディアどころか身内からも「批判」を浴びた。

発言から半年後の2004年2月、秋篠宮殿下は「発言について、私も少なからず驚いたわけですけれども、陛下も非常に驚かれたと聞いております。……。少なくとも記者会見という場所において発言する前に、せめて陛下とその内容について話をして、その上での話であるべきではなかったかと思っておりますと述べ、事実上兄を批判した。

さらに追い打ちをかけたのは、なんと天皇陛下(現、上皇陛下)だ。同年12月23日の誕生日会見において「私としても初めて聞く内容で大変驚き、『動き』という重い言葉を伴った発言であったため、国民への説明を求めましたが、その説明により、皇太子妃が公務と育児の両立だけではない、様々な問題を抱えていたことが明らかにされました」「その後、何回か皇太子からも話を聞いたのですが、まだ私に十分に理解しきれぬところがあり、こうした段階での細かい言及は控えたいと思います」と述べ、皇太子殿下と雅子さまの苦境を“理解できない”と突き放した。

兄が訴えた胸の内に、弟宮が苦言を呈し、父陛下も厳しい言葉を放つ。天皇ご一家の不協和音は誰の目にも明らかだった。



メディアの攻勢

これを受け、最初は「人格否定発言」に同情的だったメディアも雅子さまに攻撃的になる。適応障害による公務欠席を「サボり」であるかのように、私的外出を「わがまま」であるかのように表現し、それこそ雅子さまの人格を攻撃し始めた。

保守派の論客もこの流れに便乗し加速させた。西尾幹二氏(元つくる会会長)は、『WiLL』2008年5月号において、皇室が平等や人権、仙人主義といった近代理念が入り込めない領域であるのに、雅子さまによって個人主義と能力主義が持ち込まれたと嘆いた。そして皇太子の人格否定発言はその結果だとし、「雅子妃殿下は天皇制度の内部に入ってそれを内側から少しずつ崩しているいわば獅子身中の虫」とまで言い放った。

また平成の天皇陛下(現、上皇)のご学友である橋本明氏は、2009年に刊行した『平成天皇論』(朝日新聞出版)で、皇太子殿下と雅子さまの状態を嘆き「別居」「離婚」「廃太子」を国民的議論にするべきだとの持論を展開している。

さらに『新潮45』(2013年3月号)に掲載された宗教学者の山折哲雄氏の論考「皇太子殿下、ご退位なさいませ」は衝撃的だ。「皇太子さまと雅子さまは愛子さまとともに、いわば第二の人生を選ばれてもいい時期に際会しているのではないだろうか。皇太子さまによる『退位宣言』である」と書き、皇太子一家に京都での引退生活をすすめ、秋篠宮殿下に譲位を薦めたのだ。



女性天皇問題と、優しさの令和の時代に

このようなメディアの「異様」ともいえる雅子さまバッシング。その激しさは1993年に起きた「美智子さまバッシング」を遥かに超える。その時は美智子さまが倒れ「声失症」になったことで、バッシングはぴたりを病んだ。しかし雅子さまは「適応障害」で苦しまれているのに、一向に攻撃はやまなかった。この差は何なのか?

「第一には、当時、適応障害に対する理解が追い付いていなかったことです。心の病というのもは第三者にその苦しみが伝わりにくいことが多々あります。第二には、『美智子さまは皇位継承権のある男子を出産したのに対したが、雅子さまは男子に恵まれなかった』ことがあるでしょう。

『国民の天皇』(岩波書店)を著したケネス・ルオフ氏が、美智子妃の権威の根源が男子を出産したことにあることを『美智子が皇室に及ぼした最大の影響力は、二男一女の母としての権威に由来する』と端的に述べている通りです。もし女性天皇が認められていれば、雅子さまバッシングはここまでひどくはならなかったでしょう」(皇室ジャーナリスト)

一時は即位礼を欠席されるのではないかと危惧された雅子さま。だが実際には満面の笑顔を国民に向けてくださった。即位パレードや国民祭典に臨まれた折には、雅子さまは涙を拭われ、その姿に感動した国民も多いのではないだろうか?

もちろん未だ体調は万全ではないため、公務や神事にフル出席されているわけではない。また、肉声会見も17年間実現していない。それでも雅子さまへの国民の支持率は絶大である。朝日新聞の調査によれば皇室に親しみを覚えると答えた割合は過去最高の

無理してフル出席しなくても、自分のペースで日々の務めをこなし、それでいて国民から愛される。まさにこれこそが令和の皇室の姿ではないだろうか? 企業戦士が尊ばれる時代は既に平成の遺物なのだ。

雅子さまのお召しになったティアラは、27年前と変わらず輝き続けている。

「愛子さまが天皇ではダメですか?」肥塚竜による明治期「女帝容認論」

7 件のコメント

  • 浩宮徳仁天皇陛下、雅子皇后陛下、ご結婚おめでとうございます❗️
    一口に27年と云うが、四半世紀にも渡る長い年月、
    (私なら絶対に自殺に追い込まれていたと思うので)
    よくぞ耐え抜いて来られたと思うと 涙が出てきます。

    今年は、コロナの影響で大体的なお祝いは なされないでしょうが、この様な時には
    儀式的なお祝いよりも、ご家族での心温まるお祝いをなさるのも良いのでは…と思われます。

    令和になり天皇陛下と共に、雅子皇后陛下のご活躍も多くの国民の知るところとなり、ようやく 待ちに待った 今上天皇ご一家の時代が来たと、お喜び申し上げます。

    ただ、将来の天皇の皇位継承を巡って 未だ美智子や紀子による 天皇家へのマスメディアを使っての嫌がらせや 企てが続いている状況で有る事も否めない事実なのが、
    悔しく 残念な事では有りますが、

    殆どの国民はこれからも 天皇ご一家を敬愛し、御見守りさせて頂きたく思っておりますので、愛子様が次期天皇になられる迄、令和の時代が 平和で末永く続く事を願って居ります。

  • 天皇皇后両陛下
    ご結婚27周年おめでとうございます。

    お2人の道のりが苦難の連続だった事は承知していますが,改めて西尾幹二,山折哲夫の名前を聞くと怒りが湧いてきます。
    【雅子さまによって個人主義と能力主義が持ち込まれたと嘆いた。】
    この理屈って男性の考え方ですよね。皇后様を良く知れば,婚約記者会見で恥じらっていらしたとか,どこかの宮妃のように相手を押し退けても自分が前に出るような事をなさらず,謙虚で素直な方だと理解できるのに。だからご病気になられたのです。
    原因はもちろん承知していますし,その理屈はとんでもない言いがかりで,他の宮家こそ個人主義を体現して,未だに解決しない問題を抱えているではないか?
    今の英邁な陛下をご覧になられて,西尾,山折両人は,天皇皇后両陛下に手をついて謝りたいのではないかと心配しています。
    どなたか,橋渡し役を買って出られたらいかがでしょう?
    ところで前記事に貼ってあったアドレス,

    https://npjpn.com/archives/300

    こちらもだいたい同じ記事ですが,読んで見られるといいと思います。
    いずれにしても皇室内部の事など,評論家などには判らぬ事。その点,香淳様の最期を見送り,当時の皇太子様の結婚の儀も間近に見られた『小林忍元侍従の日記』は,皇室内部の事情を知る大きな手がかりになった内容でした。

    天皇ご一家の弥栄をお祈り申し上げます。

  • 現在も 西尾幹二氏、橋本明氏、山折哲雄氏は同じ考えなのか?是非取材していただきたい。「雅子皇后陛下の悪口は許しませんし、秋篠宮家への中傷も許しません。」と自己紹介をしている「宮本タケロウ」氏に取材をお願いしたい。

    (いつの間にか「宮本タケロウ」氏はプロフィール画像を変えたようだが、最初の詰襟の人物はいったい誰だと質問しようと思っていたところだった。)



  • 雅子様がここまでバッシングされたのは、男子を産まなかったからだけではありません。
    邪魔な女子なんぞ産んでしまったからだと思います。

    男系男子を死守したい人、男系男子にかこつけて秋篠宮家に皇統を嗣がせたい人々にとって、皇太子の一人子である愛子様は邪魔だった。愛子様がおられる限り、「女性天皇でいい」「愛子様がいい」という声が高まる可能性は常にあった。だって今は昔ほど男尊女卑じゃないですからね。女子が大学に行き参政権を持つ時代。天皇の子がいるのに女子だからというだけで資格がないとされて、天皇の叔父や甥が次の天皇になるなんておかしいじゃないかと思う国民が常にたくさんいます。

    雅子様をバッシングし続ければ、皇太子(当時)にも傷がつきお心を痛められて、天皇にならないかもしれない、そうすれば天皇の娘を差し置いて叔父や甥が、という国民の声を未然に防ぐことができる。「山折氏に至っては」じゃなくて、山折氏の「皇太子さまご退位なさいませ」こそが本音だったんじゃないですか?
    読売新聞でしたっけ、そういう合意が安倍首相と宮内庁とのあいだでなされたとか書いて、菅官房長官が否定会見しましたよね。今回の生前退位だって、昭和天皇を始め、皇太子がいない天皇も歴史的にはいくらでも存在したのに、ただちに皇太子の役割を負うべき方が必要だとか何だとか言い立てて、秋篠宮殿下を皇嗣にという法案が、生前退位に関わる一連の特別立法のドサクサに紛れて押し込まれてしまったのも、同じ動きです。

    愛子様が天皇にという声が高まったら困る。だから適応障害に苦しむ雅子様を仮病だワガママ病だドタキャンドタ出だとずーっとバッシングしてきたのです。
    今だって、だから何かにつけて天皇皇后両陛下に傷をつけようと変な報道がaruじゃ亡いですか。上皇ご夫妻がご健在なうちは、こういう天皇ご一家をターゲットにするバッシングはずっと続くのではないかと、大変心配しています。

  • 今上天皇陛下の有言実行に頭が下がりますね。今にして思えばですけど、評論家からメディアから一部の国民から、保守派議員からなどから、大変なバッシングを受けられても天皇、皇后両陛下そして愛子内親王様ご一家には絆の強さが感じられます。十数年間の忍耐というか、私なら自殺していたかもしれないほどの精神的なご苦労にも耐えられてこられた天皇家。皇后陛下の素直な性格、天皇陛下の一途な愛と慈悲の心お気持ちの広さには感嘆致します。私も当時の皇太子ご一家を不満に思ったこともありました。浅はかさを恥じております。天皇家におかれましては、益々のご繁栄を切に願っております。1国民として御守りさせていただきます。どうか御体をご自愛くださいませ。

  • 今の時代SNSがあって本当に良かったと思います。

    令和の時代でさえ平成の残穢(ざんえ)のような、天皇ご一家に対しての不当な下げ記事やマイナス印象の臆測記事を見受けます。

    それに反して未だに上皇后・秋篠宮一家への不自然な評価記事が乱発。

    当時もおかしいと思いましたが、確認する術が無く、ご病気の雅子様を陰ながら心配するしかありませんでしたし、秋篠宮家ばかり褒め称える記事には違和感しかありませんでした。

    しかし、ネットやSNSがある今だから色々真実が明るみになり嬉しく思います。

    令和が1日でも長く続来ますように。

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